「アナと雪の女王」を観たら西和賀へ

雲間から差しこむ太陽のまぶしさに目をすがめる。あたたかくて気持ちがいい春の日差し。これなら雪も一気に解けるだろう。

そう思った次の瞬間には、嘘みたいな大粒の雪が風に乗って頬を打ち、体温を一気に奪っていく。凍える寒さに身を震わす。いったいどっちなんだい。たまらず天を仰いだ。冬のいちばん大変な時期に逆戻りしたかのようだ。

「雪がなくなってさみしいなんて言ってごめんなさい」と、スタッフのひとりが半べそをかく。しかしもしかしたら、この春は日本中が、ほんとうにそう思うようになるかもしれない。「雪がなくなってさみしい。もっと冬を味わいたい」と。

ディズニー・スタジオの長編アニメーション「アナと雪の女王」(原題:「FROZEN」)が、3月14日に国内での公開初日をむかえた。雪と氷の世界を舞台に、王家の姉妹アナとエルサが繰り広げる真実の愛を描いた王道ミュージカルで、3月2日に米ロサンゼルスで開催された第86回アカデミー賞では、「長編アニメーション賞」と「主題歌賞」の2冠を達成している。すでに世界49カ国で、ディズニー作品史上最高のヒットを記録、日本での興行にも大きな期待がかかる。

本作の製作にあたり、美術担当であるアートディレクターらが取材旅行をしたのは、北欧の国・ノルウェー。ファンタジーのなかにもリアリティは必要ということで、北欧のうつくしい自然やユニークな建築物、そしてその地を象徴する伝統的な民族アートなどを学び、本国に持ち帰った。移り変わる雪の表情から、キャラクターがまとう衣装の模様ひとつにいたるまで、取材旅行で得られた肌感覚はスクリーンのなかであますところなく活かされ、作品に統一的な世界観をもたらしているという。

世界観という点では、山人も北欧から多くのインスピレーションを受けている。館内のBGMをはじめとして、お部屋の家具や調度品、さらには送迎車にいたるまで、ふと注意を向けてみると、そこかしこから北欧を志向する山人の姿勢が伝わってくる。ついでにいえば、オーナーのみならず山人の料理長も北欧好きであるし、ここ西和賀町が誇る錦秋湖だって、その気になればプチ・フィヨルドに見えてくる。と、これはさすがに強引か。

日本有数の豪雪地帯である西和賀は、当然ながら残雪といっしょに春をむかえる。「アナと雪の女王」を観て、雪が恋しくなった人たちが大挙して雪国を訪れるなんてことはないだろうが、西和賀のような地域を春の旅行の選択肢に加える、そのきっかけくらいにはなってくれるだろう。

話によると本作では、2000種類もの細かな雪の結晶をデザインし、劇中で使用しているという。珠玉のミュージカルナンバーとあわせて、微に入り細に入り描かれた白銀の世界を、劇場の大画面で堪能したい。

1 Comment on “「アナと雪の女王」を観たら西和賀へ

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