春の皿には苦みを盛れ

日当たりのよい斜面では雪がすがたを消し、薄黄緑色のばっけが次々と咲きはじめる。がくが開き、我先にと競うように早い春を告げる。

ばっけをご存知でない方は、春を告げるものと聞いて、何を思い浮かべるだろう。ばっけは主に東北で使われる方言で、ふきのとうのことである。調べてみると、アイヌ語で“子供を背負う”という意味の「パッカイ」や“春”を意味する「タイギャ」という言葉が変化したなど諸説あって、同じ岩手県内でも「ばっけ」や「ばっきゃ」と呼ぶなど、地域が異なると呼び名も微妙に変わる。長野県では「ふきったま」と呼ぶそうだ。 つづきを読む “春の皿には苦みを盛れ”

佐藤 友代
岩手県紫波町出身。西和賀に住んで2年目。好きな季節は夏。
旅の楽しみは食べ物。動物がいると気をとられる。

3月の甘み、春の苦み

5月や6月は、なんだか湿っぽい緑。7月は太陽の黄色い日差し。10月は稲穂の黄金色で、1月はまっしろな雪原、というように、それぞれの月の語感は、その月を代表する印象的なモチーフや色彩と、分かちがたく結びついている。

「3月」という言葉の響きからは、色というよりも、味を感じる。 つづきを読む “3月の甘み、春の苦み”