春の皿には苦みを盛れ

日当たりのよい斜面では雪がすがたを消し、薄黄緑色のばっけが次々と咲きはじめる。がくが開き、我先にと競うように早い春を告げる。

ばっけをご存知でない方は、春を告げるものと聞いて、何を思い浮かべるだろう。ばっけは主に東北で使われる方言で、ふきのとうのことである。調べてみると、アイヌ語で“子供を背負う”という意味の「パッカイ」や“春”を意味する「タイギャ」という言葉が変化したなど諸説あって、同じ岩手県内でも「ばっけ」や「ばっきゃ」と呼ぶなど、地域が異なると呼び名も微妙に変わる。長野県では「ふきったま」と呼ぶそうだ。 つづきを読む “春の皿には苦みを盛れ”

佐藤 友代
岩手県紫波町出身。西和賀に住んで2年目。好きな季節は夏。
旅の楽しみは食べ物。動物がいると気をとられる。

カタクリの美しさのわけ

カタクリは、種子から最初に花を咲かせるまでに7年~9年かかる。同時期に生まれた人間のこどもがいたとしたら、立派に小学生になるだけの年数である。

一輪の花を咲かせるのにそれだけの年数が必要だと思うと気が遠くなる。ましてやこの豪雪地帯の過酷な冬を何度となく耐え抜いたうえで咲くのだから、カタクリとはまさに「忍耐の花」ではないか。 つづきを読む “カタクリの美しさのわけ”