『雪わたり』の教え

雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たいなめらかな青い石の板でできているらしいのです。
「堅かた雪ゆきかんこ、しみ雪しんこ。」
・・・(中略)・・・
こんな面白い日が、またとあるでしょうか。いつもは歩けない黍の畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこ迄でも行けるのです。
(宮沢賢治『雪わたり』本文より)

宮沢賢治は作家ではなく教師として生計を立てていたが、その短い生涯を通して、ただ一度だけ原稿料をもらったことがある。それがこの『雪わたり』だといわれている。 つづきを読む “『雪わたり』の教え”

3月の甘み、春の苦み

5月や6月は、なんだか湿っぽい緑。7月は太陽の黄色い日差し。10月は稲穂の黄金色で、1月はまっしろな雪原、というように、それぞれの月の語感は、その月を代表する印象的なモチーフや色彩と、分かちがたく結びついている。

「3月」という言葉の響きからは、色というよりも、味を感じる。 つづきを読む “3月の甘み、春の苦み”